知恵と手仕事で守る宝〜笹崎鹿踊・受け継がれる暮らしの文化〜

みなさん、こんにちは。地域おこし協力隊の佐藤凪です。

 今回は、大船渡町の「笹崎鹿踊(ささざきししおどり)」の保存会・会長の佐藤光男さんにお話を伺ってきました。

実は、笹崎鹿踊は私自身も中学校の文化祭で踊った思い出の芸能であり、現在は弟が保存会に所属しています。ですが、深くお話を伺い、保存会が置かれている詳しい現状や裏での苦労や思い出などを知るのは今回が初めてでした。 

過疎化で担い手不足に悩む団体が多い中、笹崎鹿踊は近年の五年祭において27名から35名へと人数が増加し、中高生や大学生といった若い世代の参入によって若返りを果たしています。進学や就職で市外へ出た若者もお祭りのために帰省して舞うなど、地域を超えた繋がりが生き続けています。

その力強い伝承を支えているのは、知恵と工夫、そして裏方での愚直な努力です。 高価な道具「柳」は大工経験のある副会長が自作。消耗の激しい「わらじ」は、踊りの師匠がYouTubeで編み方を独学して供給しています。また、津波で秘伝書が全滅した過去を乗り越え、現会長が口伝の歌詞や太鼓の叩き方を自らPCで電子データ化し、デジタル記録として未来へ残しています。

一方で、佐藤さんは郷土芸能協会の副会長としても活動しています。その中での、対外的な交渉や煩雑な事務手続き、後継者育成など現場を支える役員として活動の負担は決して軽くはありません。それでも、「郷土芸能の本質は継承・継続すること。鹿踊とは腐れ縁のようなものだから」という佐藤会長の言葉には、地域と人生を共に歩んできた深い愛と強い想いを感じました。

郷土芸能とは、誰か特別な人が保存するものではなく、幼少期の記憶から大人の手仕事、そして若者の熱量まで、人々の暮らしそのものが織りなす生きる文化なのだと再確認させられました。

地域の誇りである伝統芸能への深い愛が伝わるお話を、本当にありがとうございました。

佐藤