アジアの響き、未来への祈り ― 国際共同制作舞台『髪長姫』
The Thread of Heaven: The Legend of Kaminaga-hime
日本、インドネシア、台湾。自然災害と共生してきたアジアの各地が、文化の力で繋がり、未来への創造力を育む国際共同制作プロジェクトです。2021年に始動し、国際交流基金アジアセンターとの連携(「東京2020 NIPPONフェスティバル」共催プログラム)のもと、三陸とアジアを“竹笛”で結んだ文化交流事業「ふえLABO」※。この取り組みを土台とし、コロナ禍での停滞を乗り越え、三陸、ジョグジャカルタ、台北の芸能団体が協働で新作舞台『髪長姫』を創作します。
物語の源泉は、三陸地方に伝わる民話。これに、現代社会が直面する災害の記憶、海洋ごみ問題、少子化、そして継承の危機にある地域文化への深いまなざしと未来への切なる祈りを重ね合わせ、伝統と現代を往還する新たな舞台芸術の地平を切り拓きます。
創作プロセスでは、三陸国際芸術祭で培われた芸能交流の経験を活かし、オンラインと現地での対話を丹念に重ね、各地の伝統芸能、音楽、舞踊が有機的に融合する作品を目指します。この創作の軌跡と公演の模様はドキュメンタリー映像としても記録され、国内外へ広く発信されます。
本プロジェクトは、アジア地域における文化交流のさらなる活性化、被災地間の連携強化、そして次世代の芸能継承者の育成に繋がる重要な一歩となることを目指しています。
※『ふえLABO』…アジアの民俗芸能に不可欠な“竹笛”を共通テーマに、芸能の旋律やリズムを学び合い、共創と文化交流を促進するプロジェクト。
目指すこと
- 舞台作品『髪長姫』の創作と発表
三陸の郷土芸能とアジアの民俗芸能、現代アートを融合。国内外の音楽家・ダンサー・美術家が伝統を現代に翻訳しながら出演。公演・配信を通して10万人以上の観客接続を目指します。 - 国際的な文化交流の促進
日本・インドネシア・台湾の芸能者による10回以上の交流・稽古・ワークショップを実施。芸能とことばを学び合い、協働体制を築きます。 - 被災地間の文化連携と復興モデルの提示
3カ国の被災地間で文化交流を行い、災害復興における国際的なモデルを模索。海洋ゴミ等の再利用を含む市民参加型舞台美術も制作します(※三陸ブルーラインプロジェクト
と連携 します)。 - 次世代芸能継承者の育成
日本・インドネシア・台湾から民俗芸能伝承者計25名程度が参加 。半芸半農の芸能者と現代アーティストの協働を通して、地域芸能の再解釈と後継者育成を行います。少子化や地域再生へのアート的アプローチも探ります。
スケジュール(予定)
- オンラインミーティング(2025年6月〜7月)
第1回:制作会議(予算・VISA・スケジュール調整)
第2回:クリエイティブ会議(テーマ・プロット)
第3回:テーマ・プロット・作曲などの具体化(芸能伝承者、アーティストも参加) - 取材・記録
台湾・インドネシアでの記録取材を実施。同時に、国内の現代アーティストの三陸の取材の様子や制作過程も同行撮影。舞台映像作品として配信する。 - クリエーション・ワークショップ(2025年7月〜10月)
オンライン+対面のハイブリッド形式。全3回(芸能紹介/旋律決定/稽古と共有)を実施。 - 交流・公演(陸前高田)
記録映像編集(11月〜12月)/1回目の配信開始 2026年1月(継続的に動画を配信します) - 本公演(八戸市/予定)2026年2月〜3月
2月25日〜27日:交流・舞台仕込み(八戸市予定)
2月28日・3月1日:八戸公演 南郷文化ホール - 報告会(2026年3月)
3月:オンライン報告会・振り返り・次年度への継続計画を実施。
参加出演者・スタッフ
海外団体
インドネシア:Omah Gamelan
台湾:陳光輝(笛奏者)、他
国内団体・アーティスト
大宮神楽他、三陸沿岸15市町村の郷土芸能若手伝承者から選抜
現代アーティスト:磯島未来(舞踊)、大宮大奨(舞踊)、大部仁(篠笛)、佐藤公哉(太鼓・歌)、赤丸急上昇(舞踊)、他
制作スタッフ
演出・音楽監督:アノン・スネコ(インドネシア)
舞台美術・タイポグラフィ:井上信太
記録:長岡参
制作ディレクター:久保田広美
技術ディレクター:高橋正和
広報:Yoko Kobayashi-Baker
インドネシア制作:横須賀智美
照明:照井晨市
音響:本儀拓
監修・構成:前川十之朗(みんなのしるし合同会社)
主催:みんなのしるし合同会社/一般社団法人 三陸まちづくりART
共催:国際交流基金、三陸国際芸術推進委員会、八戸市、田野畑村、陸前高田市
助成:日本万国博覧会記念基金(公益財団法人 関西・大阪21世紀協会)
協力:三陸沿岸15市町村、岩手県 ほか
