【いのちてんでんこTheMOVIE特集④】〜地域で命の守り方は変わる〜

Staff blog

一昨日のトンガ沖・海底火山による津波警報は、不安な思いをされた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか?
知識や心構えががあるとはいえ、やはり突然くる災害には、心を揺さぶられます。
現地の皆さんの無事を祈るばかりです。


先日の話ですが、


いのちてんでんこTheMOVIEに出演されている芝原弘さんが勤務されている震災関連の施設に伺いました。
現在、みんなのしるしでは、いのちてんでんこのストーリーに沿った地震や津波、防災のことを考えるワークブックを作成中で、これらは学校などの芸術鑑賞会後の防災教育に役立てていただく予定のものです。複数の地域の震災・防災のこと知り、様々な視点からそれらを捉え伝えるために、今回は仙台にお邪魔し、色々学んできました。
こちらでは、東日本大震災が起きた仙台での津波発生時の状況から復興への道のり、震災以前の地域の情報などを知ることができます。



仙台で津波の被害にあった地域の、震災前の風景から、震災直後の様子、復興対策についてが、わかりやすく丁寧に展示されています

かわいい地域を描いたイラストに合わせて、来場された方々が書いた昔の様子や思い出などが付箋で貼られています。

付箋の一つ一つから、この土地がいかに地域の人々に愛されてきた土地なのかが伝わってきます。


昔から仙台沿岸部の人々の生活に欠かせない存在だった貞山(ていざん)運河について、地図を用いて芝原さんに詳しく説明してもらいました。

貞山運河は、北は石巻から南は福島県近くまで伸びている日本最大の運河です。その歴史はとても古く、伊達政宗が晩年に指示をだし、江戸時代から作られ始めたのだそう。
そのくらい昔からあり、地域になくてはならないものとして存在していた運河ですが「貞山堀(貞山運河)を津波が越えることはない。」などと信じられていたこともあり、悲しいことにその迷信により命を落とした方もいると聞きます。

現在、貞山運河付近には住宅はありません。
上記の写真(少々見づらいですが)の上部イラストように、
仙台市では、集団移転の他、
防潮堤、防災林、避難の丘、かさ上げ道路による「多重防御」、
かさ上げ道路から仙台東部道路間に津波避難タワーの作成し、
津波に対する対策を幾重にも行っています。

実際に仙台沿岸を車で走りましたが、平野が続き高い山や丘が遠く、津波が来ることを想定した場合、どこに避難すべきか戸惑うエリアもありました。
みんなのしるしがある三陸沿岸は、海岸の側にほどなく山や丘がある場合が多い土地なので、自分が身につけている防災の感覚がここでは通用しないのだな、と実感。
広く平野がつづく仙台沿岸エリアでは、所々に避難の丘があり、沢山の対策が練られています。
但し、沿岸全ての町が仙台市のように避難タワーを多く建てられるわけではなく、まだまだ津波対策において考えるべきことはあるのだな、と感じました。
また、海岸と並走しているかさ上げ道路から、海が見えない場所も多くあり、海との距離感がわからないことも多々ありました。
この地域で過ごすにも、この地域での防災の工夫や意識が必要なのだと実感しました。


一階の壁面に仙台を中心とする大きな木製の地図が、飾られています。

芝原さんが指で触れている線が、仙台東部道路(高速道路)です。
地図の白い部分が津波が到達したエリアで、この道路が津波を防いだ様子が一目でわかります。
※写真左側のエリアが東部道路を越えて、津波が到達しているのは、道路の形状によるものと言われています。
この事実が、今のかさ上げ道路の形状に生かされているのだと思われます。

災害などの非常事態が起きた時、気を配るべきこと、咄嗟に判断しなくてはならない基準は、地域によって様々です。
改めてこうして目の当たりにすると、そこで過ごすことにも不安を感じてしまいがちです。
地域によっては、初めてその地を訪れた人がでも避難ができるよう工夫している自治体もあります。高い建物が多く方角がわかりづらい都市などは特に、そのような対策あってもよいのかもしれません。
命を守るための情報提示を増やすこと、
そしてそれを知ろうとする意識をもつこと、
これらが防災につながっていくのだと、改めて感じました。(青)


関連記事